フクロモモンガを退屈させない環境作りが飼い主さんの腕の見せどころ
フクロモモンガは、野生下では群れを作り、仲間とともに滑空を繰り返しながら餌となる食物を探し回っています。野生での生活は捕食動物との遭遇や気候の変化など厳しい一面もありますが、フクロモモンガにとって好奇心を抱かせてくれる自然界は退屈な時間など存在しないくらい刺激的な生活を送っています。
一方の飼育環境下では、まず安全・安心を脅かされることはなく、寝床や餌に困ることもないと思われます。何より自然界のような厳しい気候の変化もなく、強い風に吹かれ冷たい雨に濡れることはないでしょう。
飼育環境と野生での環境を比較するものでもないかも知れませんが、フクロモモンガにとっては、ある種のもの足りなさというものを感じていることは事実でしょう。
フクロモモンガは、退屈で刺激の無い日常に強いストレスを感じる動物です。ペットとして我が家に迎え入れたフクロモモンガに、なるべくストレスを感じさせない努力をすることが飼い主としての使命です。
そこで、フクロモモンガの本能的な欲求を満たし、好奇心を刺激する遊びを、日常生活の中に取り入れましょう。思う存分に走り回り、思いっきり飛膜を伸ばして滑空できる時間を作りましょう。そして、食物を探し回り、見つけられる工夫をしましょう。
このような遊びを仕掛けることで、フクロモモンガは楽しい時間を過ごすことができますし、飼い主さんとの絆もより深めることができます。フクロモモンガの飼い主として、フクロモモンガの生活の質を高め、いつまでも心身ともに健康に暮らせるように、遊びを真剣に考えていければいいかなと思います。
- フクロモモンガには、好奇心を刺激する遊びが必要!
フクロモモンガの遊びに仕込む4つのポイントとは?
フクロモモンガの本能的な欲求を満たせること
ケージの中や遊びグッズの中、部屋のあちらこちらにフクロモモンガの大好物であるおやつを隠して、フクロモモンガ自身に探させましょう。
また、定期的に生きた昆虫を餌として与えましょう。野生の本能が蘇ります。
多頭飼育の場合は、お互いのニオイをしっかりと嗅がせたり、グルーミングをさせる機会を与えましょう。
フクロモモンガの好奇心を刺激すること
新しい遊びグッズを与えて、フクロモモンガに遊び方を考えさせる工夫をしましょう。
また、おやつを隠して、頭と身体を動かしながら探させましょう。
フクロモモンガの身体を充分に動かせること
ケージの中のレイアウトを定期的に変更し、ケージの中での動きに変化を与えましょう。
定期的に部屋の中に出して、走り回ったり滑空したりする時間を作りましょう。
フクロモモンガと飼い主さんの絆を深められること
フクロモモンガには、必ず名前を付けてあげましょう。例えば、名前を呼ばれて飼い主さんのところに行くとおやつがもらえるなどの動機付けをしましょう。
また、最低限のグルーミングをしましょう。スキンシップはどのような動物であっても絆を深める為に重要なポイントです。
- 本能的な欲求を満たせること!
- 好奇心を刺激すること!
- 充分に身体を動かせること!
- 飼い主さんとの絆を深められること!
フクロモモンガを部屋の中で遊ばせよう
フクロモモンガの日常生活の中に、ケージから出して部屋の中に放して、走り回ったり滑空したりできる時間を作ります。ケージの中でも止まり木やステージがあって、それなりに動き回ることができても、やはり部屋ともなれば解放感は比較できないほどでしょう。
部屋の中には、フクロモモンガにとって運動や探検などの遊びの要素があちらこちらに仕掛けられています。と同時に、人間用に作られた部屋の中には、フクロモモンガにとって危険な要素も持ち合わせています。飼い主さんとの絆を深める時間であると同時に、怪我やトラブルに合う確率もグッと上がりますので充分に注意をしましょう。
部屋の中での遊びといっても、まずはフクロモモンガの好きなように遊ばせてあげるのがいいでしょう。家具の後ろを探検したり、カーテンをよじ登ったり、野生と同じような行動ができることに、フクロモモンガは幸せを感じているはずです。
遊びの途中で、飼い主さんとのコミュニケーションが取れれば、その幸せは倍増するはずです。名前を呼んであげたり、おやつをあげたり、グルーミングをしてあげたり、飼い主さんとも遊んでいる感覚がフクロモモンガにも伝わるはずです。
フクロモモンガを部屋に放す前にチェックしよう
フクロモモンガを部屋の中に放す前に、室内を隈なくチェックしましょう。人間にとっては当たり前の風景かも知れませんが、フクロモモンガにとっては初めての風景です。そこにどんな危険が潜んでいるかはフクロモモンガも知りません。怪我などのトラブルに巻き込まれる前に、フクロモモンガに危険が及ばないように対策をしてから部屋の中に放します。
- 家具やカーテンレールの上にほこりが溜まっていませんか?
- カーテンにほつれはありませんか?
- 壁に画びょうが刺さっていませんか?
- エアコンに潜ることができるは隙間はありませんか?
- 家電の電気コードや電話線がむき出しになっていませんか?
- 家具の隙間や床に殺虫剤を置いていませんか?
- 透明な窓ガラスにはカーテンをしてありますか?
- 扇風機に安全カバーが取り付けてありますか?
- 観葉植物の殺虫剤や栄養剤などはありませんか?
- 外に逃げ出さないように窓ガラスやドアの戸締りを確認しましたか?
- 部屋の中に放すことを周囲に話してありますか?
- 人間のトレイの便座や風呂桶の蓋は締まっていますか?
- 犬や猫などのペットを放していませんか?
- 人間の食物や医薬品が放置されていませんか?
- 刃物類や洗剤などの生活用品や酒や煙草などの嗜好品が放置されていませんか?
フクロモモンガに滑空のトレーニングをしよう
フクロモモンガを飼育する中で、飼い主さんにとって理想的とも言える姿は、フクロモモンガの名前を呼んだ時に、滑空してきてくれる光景でしょう。よく大型の鳥類などを口笛で呼び戻す飼い主さんの姿がメディアなどで紹介されますが、まさにあれは理想とも言える光景です。
フクロモモンガを滑空で呼ぶには、まずは飼い主さんとフクロモモンガとの間に強い信頼関係がなければなりません。その為にも、日常生活での触れ合いを大切にしてください。そして、フクロモモンガに飼い主さんを信頼しても大丈夫だということを教えていきましょう。
まずは、飼い主さんの手から直接餌を食べてくれるようになるまで慣らします。最初はフクロモモンガの目の前に餌を差し出すことから始めます。
これがうまく行くようになれば、徐々に離れたところに餌を差し出すようにしていきます。そして、高さにも変化をつけます。最初は、床で、その次はソファーの上から、と高さにも慣れてくれば、最終的には滑空で呼ぶことも可能になってきます。
大切なポイントは、フクロモモンガが飼い主さんに近づこうとし始めた時や滑空をしようと構えた時に、絶対に動かないことです。フクロモモンガが滑空の着陸点を見失ってしまいます。
また、フクロモモンガは着陸する時に鋭い爪を立てますので、薄着だと人間の皮膚まで爪が達してしまいます。なるべく厚着の服装か、革製やデニム生地の腕カバーをすることをお勧めします。
<フクロモモンガの滑空トレーニングの手順>
- 餌を直接手から食べてくれるように慣らす。
- おやつをあげる時に、床などの低い位置で徐々に距離をとって呼ぶのを繰り返す。
- 高さに変化をつける。ソファーなどにいる時に、座っている人間の肩に乗るように慣らす。
- キャットタワーやカーテンレールなど、高さのあるところからの滑空を慣らす。