フクロモモンガと人間との共通感染症の問題について
人間と動物が触れ合うことは、お互いにとってとても有効であるという研究結果があります。人間にとって、ペットとの共存で幸せホルモンの分泌量が増え、健康と幸福度が増加するのです。ペットにとって、信頼できる飼い主さんとの強い絆ができることで、やはり健康と幸福度が増加すると言われています。
ところが、人間とペットである動物との間には、厄介な存在があることも頭に入れておかなければなりません。それは、人間と動物との間で相互に感染する可能性のある感染症の存在です。一般的に、「人と動物の共通感染症」と呼ばれます。また、この名前以外にも、「人畜共通感染症」、「ズーノーシス」、「動物由来感染症」と呼ばれることもあります。
よく知られている共通感染症に「狂犬病」や「オウム病」などがありますが、これ以外にも150種類とも200種類とも言われる多くの病原体が、動物から人間に、そして人間から動物に感染する可能性を持っているのです。
実のところ、フクロモモンガと人間との共通感染症として明らかになっているものはありません。一般的にペットからの感染症で知られているのは、「サルモネラ症」と「皮膚糸状菌症」の2つです。サルモネラ症は、動物の糞便を経由してサルモネラ菌が経口感染することで発症します。また、皮膚糸状菌症は、感染している動物に接触することで感染するカビによる皮膚疾患です。いずれも、常識的な接触では問題ないとされているものです。
感染防止には、飼い主さんが自らの健康管理に気を付け、清潔な手でフクロモモンガと接することを心掛けます。また、遊び終わったら、うがいと手洗いを徹底します。これだけで感染のリスクはかなり減ると言われています。飼い主さんの心掛け次第でもあるということですね。
フクロモモンガと人間との共通感染症を予防するチェックリスト
☑健康で元気のあるフクロモモンガを選び、多頭飼育をする場合は確実に検疫期間を設けること。
☑ケージやトイレの掃除をこまめに実施して、衛生的な飼育環境を維持すること。
☑フクロモモンガの健康チェックを怠らず、定期検診を受けること。
☑フクロモモンガの身の回りの世話やグルーミングをした後は、必ずせっけんで手を洗い、うがいを心掛けること。
☑飼い主自身も健康管理に留意し、免疫力を高めること。
☑食事はケージ内の所定の場所で与えること。
☑口移しで食物を与えたり、キスをしないこと。
☑噛まれたり、引っ掛かれたりしないように、しっかりと慣らすこと。
フクロモモンガのアレルギーにも気を付けよう
どんなに健康な人であっても、動物の被毛、排泄物、唾液、分泌物、フケ、身体の汚れなどが原因でアレルギー反応を起こすことがあります。これはフクロモモンガに限らず、人間以外の動物であれば可能性はゼロではありません。特に、フクロモモンガの場合は、お風呂に入れてあげることはかなり稀ですので、アレルギー症状を発症する飼い主さんも少なからずいるようです。
アレルギー症状が軽度であれば、距離を取り、生活空間を分けることで、その症状は治まることが多いようです。そうは言っても、フクロモモンガの世話を止めることはできません。フクロモモンガの世話をする際には、使い捨てのビニール手袋やマスクを着用することで予防することが可能です。
重度のアレルギー症状が認められる時には、命に関わることがあります。このような時には、なるべく早めにアレルギーの専門医を受診し、相談することも重要になってきます。